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手話通訳士倫理綱領

 私たち手話通訳士は、聴覚障害者の社会参加を拒む障壁が解消され、聴覚障害者の社会への完全参加と平等が実現されることを願っている。このことは私たちを含めたすべての人々の自己実現につながるものである。

 私たち手話通訳士は、以上の認識にたって、社会的に正当に評価されるべき専門職として、互いに共同し、広く社会の人々と協同する立場から、ここに倫理綱領を定める。

  1. 手話通訳士は、すべての人々の基本的人権を尊重し、これを擁護する。

  2. 手話通訳士は、専門的な技術と知識を駆使して、聴覚障害者が社会のあらゆる場面で主体的に参加できるように努める。

  3. 手話通訳士は、良好な状態で業務が行えることを求め、所属する機関や団体の責任者に本綱領の遵守と理解を促し、業務の改善・向上に努める。

  4. 手話通訳士は、職務上知りえた聴覚障害者及び関係者についての情報を、その意に反して第三者に提供しない。

  5. 手話通訳士は、その技術と知識の向上に努める。

  6. 手話通訳士は、自らの技術や知識が人権の侵害や反社会的な目的に利用される結果とならないよう、常に検証する。

  7. 手話通訳士は、手話通訳制度の充実・発展及び手話通訳士養成について、その研究・実践に積極的に参加する。

1997(平成9)年 5月4日制定

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政見放送にかかる手話通訳士の倫理要綱

 私たち手話通訳士は、日本国憲法の精神にのっとり、政見放送の手話通訳にかかる倫理要綱を、一般社団法人日本手話通訳士協会第5回総会において、次の通り宣言する。

 参政権は、国民の重要な基本的人権の一つである。しかし、聴覚障害者にとっては、その保障はいまだに十分とはいえない。その中でも特に選挙権を行使する上で、十分な情報提供がなされてこなかった。

 そのため、日本の聴覚障害者は、自らの参政権の保障を求める中で、その一つとして政見放送に手話通訳をつける運動を続け、また、日本の手話通訳者も、この問題を自らの問題として受け止め、ともに取り組んできた。

 その結果、参議院選挙の比例区の政見放送に手話通訳が導入されることになった。これは、聴覚障害者の知る権利の前進である。

 このような情勢の下、私たちが、政見放送の手話通訳にかかる倫理要綱を確認することは社会的要請であり、聴覚障害者の参政権保障をさらに前進させることに貢献できるものと信じる。

 ここに、私たち手話通訳士は、自らの社会的役割を自覚し、自らの専門的技能をすべて発揮し、手話通訳に取り組む。

 1.私たちは、聴覚障害者に候補者の政見を公正に手話通訳する。

 1.私たちは、聴覚障害者の参政権保障を基本姿勢として、常に研鑚を積む。

 1.私たちは、すべての政見放送が聴覚障害者にも等しく位置づけられるよう努力する。

1995(平成7)年5月5日

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